keinoblog's blog

ながおけいのブログ

新高3の皆さんへ(後半)

前回のブログの続きです。

さすがに冗長過ぎる気もしますが、受験における戦略立案について連ねました。

長い割にやや内容薄い気も・・。

 

 戦略とは何か?

そもそも戦略とは何か?

Wikipediaで調べると「戦略は、一般的には特定の目標を達成するために、長期的視野と複合思考で力や資源を総合的に運用する技術・科学である。」とあります。

ここでは正確な定義にこだわらず戦略を、
・ 特定の目標を達成するために、
・ 投資する力や資源の5W1Hを決め、
・ 目標達成への道筋を作ること
とします。

例えば皆さんが今から素敵なパートナーと出会い結婚したいとします。

どうしますか?

とりあえず婚活サイトに登録してみる。いやいや婚活サイトより着実に知り合いからいい人を紹介してもらう。いやいやいや出会ったって好きになってもらわないとしょうがいない、まずは自分磨き!男・女に磨きをかける、などなど。

頑張り方は色々ありますが時間的な制約、経済的な制約などがありますし、全てやることは難しいですし効果的でありません。

そこで、自分はどこで頑張るのか?何を頑張るのか?いつ頑張るのか?どのようにして頑張るのか?を決めて自分の時間や資源の投資先を絞ることが戦略を作ることです。

 

 まずは現状把握、目標設定と理解、課題特定しましょう

自分の投資する力や資源の5W1Hを決めることは大事ですが、まずは現状と目標、そしてそのGAPである課題を具体化する必要があります。具体的にこれらを把握できると本当に頑張るべきポイントが明確になり効率的・効果的な戦略を作りやすくなります。

大学生になると皆さん「合コン」と呼ばれるものに誘われたり参加したりすることがあると思います。合コンはも戦略性は介在します。

合コンにおいて「いいな」と思う子がいたとき皆さんならどうすると思いますか?
私の友人には戦略家が多いですが、彼らは気になる人がいればこのような会話を繰り広げます。

1 「彼はいるんですか?」
現状を把握しようとしています。そもそもこの子はフリーなのか?フリーでなければ彼との状況はどうなのか?と現状を知ることで自分の次の行動を決めようとしているわけです。彼氏がいなければ恐らくいない理由も(失礼でないように)聞くかもしれません。ただいないだけなのか、今は必要としていないのか。必要だがいないだけなら話は早いかもしれません。必要性を感じていないなら、そもそも必要性を感じて頂くことがスタートラインになるかもしれません。現状を知らないと戦略のスタートラインが分からないのです。

2 「好きな芸能人は誰ですか?」
これは目標設定のために理解を深めようとしています。好きな芸能人を聞くことでこの子の好きなタイプ、つまりは自分が目指すべき目標を知ろうとしているのです。但し実はこの質問は目標理解に向けていい質問でありません。
好きな芸能人と彼氏にしたいタイプは違うケースは散見されますし、そもそも彼氏にしたいタイプと今彼氏に求めてることは違うこともあります。
それよりも過去お付き合いした人の話を聞く方が良いでしょう。彼氏にする人のタイプを過去の傾向から推測できますし、直近の付き合いの終わり方は「いま彼氏に求めるもの」に大きな影響を与えているケースが多いです。「いま彼氏に求めてるもの」がまさにあなたが目指すものになるのです。

3 「付き合ってください。」
一見無鉄砲で戦略性がないように思えますが、実はこれ課題把握をしようとしています。この場でOKを獲得するつもりはありません。結論を迫ることでダメな理由をあぶり出し、自分が乗り越えなければいけない課題を明確にしています。課題は何も目標と現状の差だけでありません、乗り越えなければならない色々な障壁がありこれらは全て課題です。課題が分からないと何を頑張れば良いのか分からず戦略は立てられません。

半分本当半分冗談な話ですが、このように戦略家な彼らは現状、目標、課題を理解し、自分の戦略を作成するのに必要な情報を獲得しようとしています。

 

 受験における戦略性
少し話が脱線しました。
受験を題材にして戦略についてお話したいと思います。
基本的にやることはシンプルです。

1 目標設定と理解
2 現状把握
3 課題特定とプロセス設計

です。

自分が経験した東大(理系)受験を具体例に用いながら詳しくお話したいと思います。

 

1 まずは具体的に目標設定し理解しましょう
受験における目標は志望校への合格ですが、これでは具体性が足りません。

東大に合格したい!いまはまだまだ力が足りない!勉強しよう!
こんなの当たり前です。

東大に合格したい!英語が大事らしい!まだまだ力が足りない!英語に注力しながら勉強しよう!
これでも足りません。

もっともっと具体的に目標を設定しましょう。
目標設定は自分が明日から何を頑張れば良いのか明らかにするための準備です。
何の科目のどの問題集を解けばよいのか、それが分かるくらいには具体的に目標を設定します。

ポイントは、
・ 合格基準(=最低合格点)を調べる
・ 得点構成を決める
・ 科目ごとの問題分析
です。

・ 合格基準(=最低合格点)を調べる
東大はセンター試験→二次試験と二段階で選抜があります。
センター試験足切りは年度によって多少変動はありつつも900点満点中だいたい720~750点くらいです。2012年は理科一類が770点と少し高めでしたが、理科二類は743点とやはりだいたい720~750くらいです。
二次試験の最低合格点の推移は下の表の通りです。少し余裕みて350点を確実に取れれば合格できそうです。


※参考URL http://todai.kawai-juku.ac.jp/exam/average.php

 

東大に合格するということはセンター試験で750点獲得し、二次試験で350点獲得するということなのです。そういうゲームです。少し具体的になってきましたね。もっと具体化しましょう。

二次試験で350点獲得するとはどういうことでしょうか?配点構成に着目しましょう。

・ 得点構成を決める
二次試験は英数国、理科2科目の5科目とセンター試験の点数で構成され、配点は英数理が各120点、国が80点、センター試験が110点(センター試験の点数が110点満点に圧縮されます)。足切を通過している人はセンターで8割はとっていますから88点以上獲得済です。

残り262点を5科目のなかで取る必要があります。262点の取り方は自由で、英数国で満点取れれば理科はゼロでも大丈夫ですし、全科目万遍なく点を取ってもよいです。

どの科目で何点取るかまで設定することで各科目どれくらい勉強すべきかが見えてきます。

僕の場合は(記憶がやや曖昧ですが)下記の様な目標設定をしていました。
基本的には勉強した分だけ点が取れる科目に注力するのが鉄則です。

英語:90/120点
数学:40/120点
国語:40/80点
物理:50/60点
化学:40/60点
センター:90/110点
合計:350/500点

英語・物理は得意で勉強すればするほど点に繋げる自信があったので注力。
国語は配点が少ないがコツさえ掴めば合格者平均点は獲得できるのでそこまでは頑張る。(逆にそれ以上伸ばそうとしても努力の割に伸びは今一なので高得点にはこだわらない)
化学も合格者平均点レベルまでは努力した分だけ点に繋がるので頑張るが、高得点を取ろうとすると効率が落ちるのでこだわらない。
数学は出題範囲が広くまた難易度も年度によって変動性が高く、安定した得点源にし辛いのでそこまで頑張らない。
センターも900点が110点に圧縮されてしまうので学習に対する見返りが小さいと判断し、特別高得点は目指さない。

こうやって整理するともちろん大変ですが目指せなくもない気がしてくるものです。
漠然と二次試験で350点取る!よりかは目標が分かりやすく目指しやすいですよね。

東大の数学は難関と言われていますが40点であれば部分点だけで稼ぐことができます。1問も解ききれなくてもいいのです。そうなると戦略がだいぶ変わってきますよね。

しかしこれではまだ明日から何を勉強すれば良いか分かりません。
数学で40点を取ること、英語で90点を取ること、国語で40点を取ることが何を意味するのか分からないからです。

・ 科目ごとの問題分析をしましょう
敵を定めたら敵を良く知りましょうということです。
敵を良く知らないとやっつけられませんね。敵を良く知りましょう。

科目ごとの問題分析、少し難しいと思います。
赤本とかにも分析結果が書かれていることが多いので参考にしつつまずは過去問を自分で見てみましょう。先生にも相談すると良いと思います。

基本的にはどこまで発展的な問題に対応する必要があるのか?
が一つポイントになると思います。

基本問題をミスなく解ければ目標点を取れる構成なのか、応用問題も取れる必要があるのか、大学独自の癖のある問題があるのか。

「化学で40点取るてことはXXくらいのレベルの問題は全部解けてYYくらいのレベルの問題が部分点取れればいいんだね」

という感覚が大事です。
ここまで来てようやく設定した目標に意味が出てきます。
40点という数字自体は目安であってあまり意味がないですよね。

 

2 現状把握しましょう
目標設定がようやく終わった!けどまだ自分が明日から何を頑張れば良いのかまだ分かりません。

現状が分からないからです。

現状把握は目標設定と同じくらい大事です。そして具体的な方が良いです。
けどこの現状把握、結構難しいというか大変です。

基本的には受験科目の全範囲のレベル感を把握することが必要なのですが、そんなこと出来る機会なかなかありませんね。

模試を受ければ合格判定が出て「いけそうか?」「いけなさそうか?」何となくの現状把握はできますが、あまり意味がありません。
目標設定変更の参考にはなっても戦略策定に繋らないからです。

僕たちはいま目標達成のために戦略を作っているわけで、その目標が大変そうかどうか漠然と分かったところで意味がないですよね。大変そうだから目標を変更するなら意味があるかもしれませんが、それは基本的には願書提出直前で十分です。

今必要なのは正確で網羅的な現状把握です。
各受験科目の各分野において、「教科書レベルの基本知識は理解しているか」「基本知識を活用した基本問題は解けるか」「応用問題は解けるか」「発展問題は解ける」といったレベル感を掴むことが必要です。

一から全て確認するのは大変なので自分の感覚値も踏まえて自己診断してほしいですが、基本的には教科書の例題をぱーと眺めて感覚を掴むのが手っ取り早いと思います。教科書レベルが余裕な人は適当な参考書を使いましょう。

数学はチャート式、物理なら物理のエッセンス、化学なら化学重要問題集?がオススメですが時間が足りない人はもっと薄めの参考書でもいいと思います。

 

3 課題特定とプロセス設計
ここまで来たら戦略はほぼできたも同然です。
目標と現状を理解したわけですから「目標に向けて現状足りていないもの」が課題になります。

例えば数学の「ベクトル」において「応用問題が間違いなく解ける」必要があり、現状は「基本問題は解けるが応用問題はたまにしか解けない」のであれば「応用問題を間違いなく解けるようになる」ことが課題です。当たり前ですが。。

課題が特定できたらプロセス設計です。
「どのようにして応用問題が解けるようにするか」です。いわゆる勉強方法ですね。

最適な勉強方法は科目によって変わると思いますが、ネットで調べると色々なブログ記事等たくさんあって参考になるので、いくつか読んで各科目についてどう勉強するか(教材、学習法、年間プランニング)、またどれくらい勉強するのかを決めると良いと思います。

プランニングの仕方は今回割愛したいと思いますが、一つ注意点としては、インプットとアウトプットを切り分けて考えましょうということです。

勉強は基本的にインプットとアウトプットに2種類があります。インプットの目的は知識の獲得で、アウトプットの目的は知識活用の練習ですが、これらは目的を混同しないことが望ましいです。

知識が足りない状態でアウトプット(問題演習)しても仕方ないです。いくら時間かけて考えても知識がないと問題は解けないからです。まずはちゃんとインプット(知識獲得)し、知識を理解し、その後に問題演習するのがいいと思います。また、問題演習の際は知識の活用が目的なので積極的にカンニングしていいと思います。「あの公式なんだっけ・・・?」て忘れてしまっているのをうんうん思い出す訓練をするために演習をするわけではありません。公式等はいずれ覚えなければなりませんが、そのうち覚えられるので、演習は知識活用の場として向き合う方が効率的です。問題を見て考えて知識の活用方法を考えられるかの一本勝負。考えられなかったらその考え方をその場で理解し、覚える。それだけです。

 

 戦略を立てた後は実行に
戦略を立てた後はこれを実行に移します。
どんな優れた戦略も実行し切らなければ目標達成できません。

受験において実行の難しさはやはりモチベーションを維持することですよね。
孤独になりがちだし、成果が出るまで時間がかかるし、受験勉強を頑張り続ける事は大変です。

僕は本当に集中力がないタイプの生徒だったので机に向かうのがとても大変で、やっとの思いで30分机に向かい続けるところから始まりました。それでも一人前に集中力を身につけられたのは、

「ちょっとだけ頑張る」

ということを続けたからかな、と思います。

集中力て時折根性論で語られることがありますが、どちらかというと力だと思います。いきなり発揮できるわけでなく、しっかりトレーニングすることで少しずつ強くなっていくものだということです。でもなかなか身につけることが難しい。それには理由があります。

そもそもトレーニングには共通して3つの原則があります。
1 過負荷の原理
過去に経験した負荷よりも高い強度でストレスを与えなければ、さらなる成果を得られないということです。普段皆さん通学で歩いていても足の筋肉は特に増えませんよね。高い強度を与えて稲からです。
2 可逆性の原理
トレーニングを中止すれば、やがてトレーニングの効果はなくなっていくということです。
3 特異性の原理
トレーニングした内容に応じて効果が表れることです。腕の筋トレをして脚の筋肉はつかないという事です。

この3原則を踏まえると、集中力を鍛えるためには集中力に関して司る脳の特定部位に過去に経験した負荷よりも高い強度でストレスを与え続ける必要があるのです。

でも、それって難しいですよね。どうやって脳にストレス与えるんだという感じです。
しかも集中力に関する部分を司る特定部位に。そんなダンベル世にはなさそうです。

この時に大事なのが「ちょっとだけ頑張る」だと僕は思っています。

集中力がなくなってきた、なんかスマホいじりたくなってきた、頭がぼーっとしてきたという瞬間、実はこの瞬間が超大事なチャンスなのです。この瞬間まさに神様は皆さんにダンベルをくれているのです、集中力を鍛えるためのダンベルです。この瞬間に少しだけ、5分、10分だけでいいから無理やり頑張ってみる続ける。こうすることによって集中力に関連した負荷を自らに課し、トレーニングすることができるのです。めっちゃ頑張る必要はありません。少しだけ頑張ればいいんです、そうすれば脳は勝手に強くなります。

この「ちょっとだけ頑張る」は本当に効いたので皆さん是非頑張ってみてください。投資効果は大きいと思います。また何事においても通用することだと思います。

集中力を身につければ受験勉強において皆さんは確実に強い実行力を手に入れることが出来ると思います。

ぜひぜひトライしてみてください。